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会員写真展案内

木川次夫写真展     「北邊に生きるⅣ」    ━魅せられて北国━

坂直尭写真展      「女はとても美しい」

第11回JPA公募展・第24回JPA会員展 総評

 今年の夏は天候が不順で、暑い日が続いたかと思うと急に集中豪雨になったりと、異常気象に振り回された毎日でした。審査日の7月18、19日は猛暑で審査委員の先生方ならびに実行委員の皆様には大変暑い思いをされ、ご苦労様でした。

審査委員は初日が南村康弘名誉会員、斎藤友覧委員、竹上正明委員と、審査委員長の私、津田一郎の4人で、2日目は川口邦雄顧問と藤森邦晃フォトコン編集長の2人を加え、計6人で行いました。応募人数は765人、応募点数は2,164点と、昨年を上回る点数でした。傾向としては昨年同様に自然風景と動物が多く、特に鳥や猫、鯉、鷲、猿等が目立ちました。人間が人間を撮るという基本的なスタンスの写真は、肖像権の問題があって国内の作品では少なく、圧倒的に海外のスナップ写真が多くなっています。デジタル加工写真に関しては技術の向上で、手を加えていない写真と見分けがつかない作品も多くあり、見る側の心に響く作品かどうかという点を考慮しながら選びました。

JPA大賞に輝いた土居武司さんの「奇襲」は鳶がフロントガラスに向かって攻撃をしてくる写真で、通常よく見るネイチャー作品と違って人間対鳥という、ヒッチコック映画の名作のような迫力ある作品で、審査委員全員一致で決まりました。大阪府知事賞は一転して小雨の中、子供達のさす傘の心癒される優しい写真で、広島県知事賞の作品はモノクロに反転したしだれ桜で、確かな技術の作品という具合に、上位の優秀な作品群の全体の流れにも注目して頂きたいと思います。

 第24回JPA会員展は225人が参加。「地球はいま(生活と人間模様、アート、美しい風景、地球温暖化の影響)」をテーマにした作品が出品されました。

 デジタル写真が主流になった今、同展の作品約8割がデジタル写真に移行したようです。心の優しい性格の会員が多いせいか、全体的におとなしい作品が多かったように思いました。

 

                         審査委員長 津田一郎

 

JPA大賞/文部科学大臣賞 「奇襲」 土居武司

 2000点を超える作品の中から選ばれたこの作品は、審査が始まった時から話題となった一枚でした。視覚的なインパクトはもちろん、「車はゆっくりだが動いている」「奥さんが運転して旦那さんがその横から撮った」など、すべての審査員が細部までのぞき込むように見て、写真からいろいろなストーリーを想像していました。こんなことがあり得るのか、という驚きと、よくぞこの一瞬にシャッターを切ったという予測とチャンスをつかむ力があり、力強さを宿しています。

写真は、現場にいなければ撮ることができません。そして、突然やってくるそのときにカメラを向けていなければ作品にすることはできません。そんな写真の魅力と醍醐味を感じさせてくれる一枚でした。

                      フォトコン編集長 藤森邦晃

 

大阪府知事賞 「小雨に戯れる」大島啓司

 JPAの公募のように、応募された色々な様式の作品群から秀作を選ぶのは大変です。そうした中でこれはなんとも気持ちのいい作品です。先ずこの場所と角度がよろしい、小雨に濡れる敷石の光り、家並の風情も良いですねえ。次に手前に居る4人の少女たちの動き、大変良い瞬間を捉えています、さしている傘の色合いも素敵です、更に彼方の数人の人たちとの間合いも素晴らしい、熟達のわざと見ました。ここは何処なのかと思うのは私だけではないでしょう、写真説明には場所が欲しいですね、戯れているのは見れば分かりますから。 

                             南村康弘

広島県知事賞 「さくら」 鎌田義行

 この作品について作者、鎌田さんは、“さくら”というものからくる独特の波長のエスプリをご自分のアンテナによる受信で試みたとみた。

 この桜花はネガ像であるが、ポジ像より強く性格を表現している。おそらくポジのイメージでも相当な迫力ある画面となっただろうが、しかしこの場合ではネガ像での迫力に感じ入りたい。まことによい判断であった。これは画家には決して思いつかないフォトジェニックな作品である。

 桜花を暗く前景のシャドウ部として、対する明るく描写された樹幹がダイナミックな舞のポーズを感じさせ、タテ位置の画面に適確に構成されているのも魅力の作品である。

                            川口邦雄

 

鳥取県知事賞 「朝日に染まる雲海」中田具実

  昨年は動物写真家の田中光常顧問に審査をお願いしました。そのせいか迫力のある動物写真が上位を占めました。今年は、山岳写真家の川口邦雄顧問なので、山の写真が多くなるかもしれないと思った。それに今年は富士山が「世界遺産」に登録され盛り上がっている。富士山の素敵な写真があればいいとも思った。結果ヒマラヤの1枚が銅賞に選ばれ、それとこの1枚が鳥取県知事賞に選ばれました。

 早朝黄金色に輝く雲海の向こうに、特徴ある大山のなだらかな山並みが見える。手前の黒いエッジのきいた黒い木々がアクセントになって、美しい風景を作り出している。山岳写真は登る苦労があってその場所に行かないと写せないが、この1枚はその苦労が報われた。鳥取県知事賞にふさわしい作品です。

                          津田一郎

 

金賞「冬景色」神山敏文

一体どこが実像でどこが虚像なのか、思わず見入ってしまった。立体を撮影しているにも関わらず、全てをまるで貼り付けたような平面性を感じる作品に不思議な空間が描かれている。歩道を行き交う子供や大人の配置や色合いが洗練された雰囲気で、的確なシャッターチャンスによって表現された。立ち並ぶ冬木立の背景が何であるのかはっきり分からないが、淡い色合いに木立が浮き出して冬の季節感を強調している。画面を横長にしたトリミングと3分割がセンスよく、また水面に倒映する木々の中央部分に見える若者の上半身が単調さを救ってくれた。現実の世界と水面に映り込む世界が調和し、そこにまた別の時間が存在しているような錯覚を楽しんだ。

斎藤友覧

 

 

金賞「叫び」田中洋一

自然の造形物を擬人化して表現した写真はたびたび目にするが、この作品は大胆にクローズアップされた朽ち樹の質感がよりリアルに表現されている。樹の上部に這うツタが鎖のようにも見え、心の奥底から響く断末魔の叫び声が聞こえてくるようだ。インパクトのあるムンクの絵画を連想するような画題だが、歪む灰色の木肌が苦悩するイメージとちょうど重なったのだろう。ローキーに描かれた画面が時の流れを漂わせ、樹の周囲を取り囲むツバキの花が優しく包んで日頃の不安や恐れを緩和する役目を果たしているようだ。森を歩いているとこのような被写体によく遭遇するが、じっくり対峙したことで作者の感性が十分に発揮できた。

                           斎藤友覧

銀賞「耐える」佐藤正一

 頭と目の上に薄っすらと積もった雪、うつむき加減の顔、そしてどこを見ているか分からない目にピントがきていてフクロウの心情すら感じ取ることができる。

 画面全体に写り込む吹雪く情景を、フクロウの周りを焼き込むことによって、寒さを強調することに成功している。

 まさに、タイトル通り風雪に耐えるシマフクロウの姿を表現した臨場感あふれる映像だ。

竹上正明

 

銀賞「都市のかたち」前野幸生

 この作品を見た瞬間、この造形は現代版トロイの木馬という印象を受けた。

 現代建築の人々を飲み込んでゆく巨大なスチィール構造がカメラポジションと、アングルの良さと、シアンとアンバーの色調、ちょうど目のように見えるライトなどによって、かくも面白い視覚のイリュージョンを形成している。

 このアングルを見つけた時の作者の心情を想像できる作品だ。

                            竹上正明